• 中島朋

宇宙に行くことは地球を知ること 「宇宙新時代」を生きる

Updated: Jul 22, 2021

[Universe]

著者:野口聡一, 矢野顕子, 林公代

出版社:光文社

出版年月日:2020年9月1日


レビュー


ミュージシャンである矢野顕子氏と野口聡一宇宙飛行士との対談本である。矢野氏は、言わずと知れた宇宙好きだ。そんな異なる二人の立場から、共通項である「宇宙」についてさまざまな切り口で語られている。


対談当時、野口飛行士は三度目の宇宙飛行を控えていた。これまで、アメリカのスペースシャトルとロシアのソユーズ宇宙船に搭乗し、今回はSpaceX社が開発したクルードラゴンでの飛行を予定していた。日本人の初搭乗ということで、世界的にも注目されていた。

野口飛行士はこれまでのミッションで、船外活動を担当したことがある。彼は当時を思い出し、宇宙から見た地球の姿を「命そのものだった」と語っている。宇宙に行く前、地球は単なる1つの天体だと思っていたそうだが、死の空間である宇宙の中で地球だけが命を内包し、その命の鼓動や躍動さえも感じたと言う。俯瞰して地球を目にしたからこそ得られる感覚だろう。


今や、宇宙で活動中の飛行士がSNSを通して、リアルタイムの地球の姿を発信する機会が増えた。そのため、我々も簡単にその姿を目にすることができるようになった。常に表情を変える地球の姿は、言葉を失うほど魅力的だ。もし、直接地球を外から眺められたとしたら、一体どんな気持ちになるのだろうか…


民間人が気軽に宇宙に行ける時代は、まだ少し先になるだろう。そんな未来が訪れる前に、野口飛行士が見たその景色、抱いたさまざまな想いなどをこの本を通してぜひ感じてみてほしい。読み終えた頃、宇宙への好奇心が増すだけでなく、我々が暮らす地球への見方がきっと変わるに違いない。