有機的であること
composting project at 3331 cafe Ubuntu
装置:三原 聡一郎 Soichiro Mihara
「有機的であること」とは、私たちの身体の内側にあるものと外側にあるシステムをさまざまにつなげてみる(いく)ことを、アーティストとの協働により実践し考察していく取り組みです。
第一回目となる今回は、東京千代田区のアートセンター 3331 Arts Chiyoda内にあるcafe Ubuntuを舞台としたコンポスティング・プロジェクトを実施します。コンポスティング(堆肥化)とは、微生物の働きを利用して生ごみなどの有機物を分解・発酵させ、堆肥となる土をつくる昔からの方法です。ここでは好気性の微生物との共同作業として、カフェが飲食の提供を行う上で出てくる有機物と、隣接する公園の落ち葉をかき混ぜる作業を行なっています。
本プロジェクトは、微生物による分解のプロセスを近年作品化している三原聡一郎の協力によって装置の設置を行い、有機物の分解の状況と過程を公開展示しながら、アーティスト、カフェ、そして施設利用者の三者がこのプロセスに継続的に介在する場を作り出すものです。
そこは、“分解”という自然界のゆったりとした時間の流れを直接体験させる場として機能し、写真や映像といった編集され描かれたリアリティを生々しく超える、生命による直接的なリアリティを包括する場となるでしょう。
そしてここではカフェの利用客や3331 Arts Chiyoda来館者が実際にコンポストの状態に触れることができ、体験したり観察することが可能な環境を、春、夏、秋、冬、と季節の移ろいの中で作り出して行きます。
微生物の営みによって分解・発酵を経た自家製の堆肥は、施設屋上にある菜園に運び、ハーブや野菜類の栽培に使用し、収穫されたものをカフェで提供していきます。
食という死から始まる生へのサイクルとそのスケールを食べ物や物質の循環から見つめ直すこと、
そして、分解の世界での出来事が鑑賞者自身の体感と繋がっていくことで、人間も含む生態系への感覚を捉え直すサイト(場)として運営して行きます。ぜひご来場ください。
*日々の有機物と分解の状況のログを公開中です。
有機的であることInstagram→https://www.instagram.com/yuukiteki_de_aru_koto/
【期間】2022年6月24日-2023年1月末(予定)定休日:月曜、火曜(6-7月)
【時間】12:00-18:00 (L.O 17:30)*カフェの営業時間に準ずる
*店内でのご鑑賞は要1オーダー
【会場】3331 cafe Ubuntu、および3331屋上菜園
101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14
3331 Arts Chiyoda, SUITE105
Artist Profile
三原 聡一郎 Soichiro Mihara
世界に対して開かれたシステムを提示し、音、泡、放射線、虹、微生物、苔、気流、土、水そして電子など、物質や現象の「芸術」への読みかえを試みている。2011年より、テクノロジーと社会の関係性を考察する「空白のプロジェクト」を国内外で展開。2013年より滞在制作を継続的に行い、北極圏から熱帯雨林、軍事境界からバイオアートラボまで、芸術の中心から極限環境に至るまで、これまでに計8カ国12箇所を渡ってきた。
主な個展に「空白に満ちた世界」(クンストラウム・クロイツベルク/ベタニエン,ドイツ,2013/京都芸術センター、2016)、グループ展に、第11回恵比寿映像祭(東京都写真美術館, 2019)、札幌国際芸術祭2014(芸術の森有島旧邸, 2014)、「サウンドアート——芸術の方法としての音」(ZKM、ドイツ、2012)など。展覧会キュレーションに「空白より感得する」(瑞雲庵, 2018)。共著に「触楽入門」(朝日出版社、2016)。アルス・エレクトロニカ、トランスメディアーレ、文化庁メディア芸術祭、他で受賞。プリアルスエレクトロニカ2019審査員。NISSAN ART AWARD2020ファイナリスト。また、方法論の確立していない音響彫刻やメディアアート作品の保存修復にも近年携わっている。
【企画・制作】津嘉山 裕美 (nutriment)
【共催】IDEAL COOP Inc, 3331 cafe Ubuntu
【協力】3331 Arts Chiyoda
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